事件番号:JP2019-0005 裁 定 申立人: 名称 株式会社ポケモン 住所 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー8F 代理人:弁理士 西村 雅子 弁理士 佐々木 香織 登録者: 氏名(名称) Hitomi Tsujika 住所 東京都千代田区神田錦町3-26 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、JPドメイン名紛争処理方針(以下、「方 針」という。)、JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則(以下、「規則」という。)及 び日本知的財産仲裁センターJPドメイン名紛争処理方針のための手続規則の補則並びに 条理に則り、申立書・答弁書・提出された証拠に基づいて審理を遂げた結果、以下のとお り裁定する。 1 裁定主文 ドメイン名「POKEMON-EXPO-GYM.JP」の登録を申立人に移転せよ。 2 ドメイン名 紛争に係るドメイン名は「POKEMON-EXPO-GYM.JP」である。 3 手続の経緯 別記のとおりである。 4 当事者の主張 a 申立人 申立人は、「Pokémon」、「POKEMON」又は「ポケモン」は申立人の著名な商品等表示で あるところ、本件ドメイン名は申立人の著名な商号を含むものであり、かつ、権利者が所 有する引用商標ほか、多数の登録商標と同一又は混同を引き起こすほど類似している、と 主張している。また、本件ドメイン名におけるサイト上において、オンラインカジノへと 誘引する不正の目的で本件ドメイン名を使用しており、申立人及び権利者は、当該オンラ インカジノとは何ら関係がなく、オンラインカジノへと誘引する本件ドメイン名の登録者 との関係もないから、登録者は本件ドメイン名に関する権利又は正当な利益を有していな い、と主張し、本件ドメイン名登録の申立人への移転を請求している。 b 登録者 登録者は答弁書を提出していない。 5 争点及び事実認定 規則第15条a.は、パネルが紛争を裁定する際に使用することになっている原則について、 パネルに次のように指示する。 「パネルは、提出された陳述・文書及び審問の結果に基づき、処理方針、本規則及び 適用されうる関係法規の規定・原則、ならびに条理に従って、裁定を下さなければな らない。」 方針第4条a.は、申立人が以下の3項目(以下、3要件という。)のすべてを立証しなけ ればならないことを指図している。 i. 登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表示と 同一または混同を引き起こすほど類似していること(第1要件) ii. 登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していないこと (第2要件) iii. 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること(第3要 件) 規則によれば、登録者が答弁書を提出しないときには、例外的な事情がない限り、パネ ルは申立書に基づいて裁定を下すものとするとされている(第5条f.)一方、両当事者が 平等に扱われ、各当事者のそれぞれの立場を表明する機会が公平に与えられるよう努力す ること(第10条b.)、いずれかの当事者がパネルの要請を履行しないとしても、適切と思 われる判断を下さなければならないこと(第14条b.)が規定されている。 これらの規定を総合的に判断するならば、パネルは、登録者が答弁書を提出しないとい う事実のみを理由として申立人の申立てを認容することが許されないことはもとより、申 立書記載の事実主張及び要件充足判断について登録者が全部自認したものとして扱うこと (擬制自白方式)も許されず、申立人の主張する事実が方針及び規則の定める要件を充足 しているかどうかの判断を、申立人の提出した証拠と両当事者の陳述内容とに基づいて、 認定しなければならない、と解される。 このことを前提に、申立人の主張する事実が3要件を充足しているか否かについて検討 する。 (1)第1要件 第1要件は、「登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その 他表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること」である。 申立人は、「(申立人が)日本の国内外を通じて、『ピカチュウ』ほかの『ポケットモンス ター』(以下、「ポケモン」という。)のキャラクターについての著作権、並びに当該キャラ クターの名称、当該キャラクターのイメージについての商標権の管理会社」であること、 及び、「当該著作権は、申立人並びに任天堂株式会社、株式会社クリーチャーズ及び株式会 社ゲームフリークの4社に帰属し、当該商標権は、任天堂株式会社、株式会社クリーチャ ーズ及び株式会社ゲームフリークの3社に帰属する」ことを主張し、これらを合わせて「権 利者」と称している。したがって、商標権に関する限り、「権利者」には、申立人は含まれ ない。 申立書の記載上、登録者のドメイン名が同一又は混同を引き起こすほど類似する、と申 立人が主張する商標その他表示とは、以下のいずれかでしかない。 ・申立人の商品・役務を表示するものとして著名な商標(または、申立人の著名な商 品等表示)である「Pokémon」、「POKEMON」又は「ポケモン」 ・申立人の著名な商号 ・権利者が所有する引用商標ほか、多数の登録商標 なかでも、登録第5841119号商標「ポケモンEXPOジム」(甲第2号証:申立人はこれ を「引用商標」と称している。)は、その構成中「ポケモン」及び「ジム」の文字部分が片 仮名表記となっているものの、これを英語表記に置き直すと「POKEMON」及び「GYM」 であるから、本件ドメイン名の文字列中、日本を意味するトップレベルドメインである「.JP」 を除いた「POKEMON-EXPO-GYM」と同一である、と申立人は主張している。 第1要件によれば、登録者のドメイン名と比較する対象は「申立人が権利または正当な 利益を有する商標その他表示」である。 「引用商標ほか、多数の登録商標」は、任天堂株式会社、株式会社クリーチャーズ及び 株式会社ゲームフリークの3社の所有に係るもの(甲第1号証によっては、その事実を確 認することができないが、甲第2号証によって引用商標が当該3社の所有に係るものであ ることを確認することができる。)であって、申立人は、それらの商標権者ではない。もっ とも、第1要件で求められるのは、「申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表 示」であって、必ずしも申立人が商標権者である必要はない。 また、申立人の商号は「株式会社ポケモン」であり、その英語表記は「The Pokémon Company」である(甲第3号証)から、本件ドメイン名は、申立人の商号と同一ではない。 さらに、申立人は、「Pokémon」、「POKEMON」又は「ポケモン」は、「申立人の商品・ 役務を表示するものとして著名な商標」または「申立人の著名な商品等表示である」と主 張しているが、申立人の商品・役務に関しては、具体的に何等主張をしていない。但し、 「Pokémon」、「POKEMON」又は「ポケモン」が申立人の商品・役務を表示するものとし て著名な商標である事実を示す資料として提出された甲第4~13号証からすると、申立人 の商品・役務等は、「スマートフォンゲーム」、「イベント」及び「キャラクター」に関する ものである、と考えられる。なお、これら証拠方法における商品等表示は、「ポケモンGO」、 「ポケットモンスター サン」、「ポケットモンスター ムーン」、「ポケットモンスター ウル トラサン・ウルトラムーン」及び「ポケットモンスター」であって、「Pokémon」、「POKEMON」 又は「ポケモン」ではない。 しかしながら、申立人は、「ポケモン」(「ピカチュウ」ほかの「ポケットモンスター」) のキャラクターについての著作権、並びに、当該キャラクターの名称及びイメージについ ての商標権に関する管理会社であって、これらに関する「店舗運営事業、ゲームソフト事 業、カードゲーム事業、ライセンス管理事業、アニメ・映画事業、その他、これらに付随 する事業」を事業内容とする法人である(甲第3号証及び申立人の履歴事項全部証明書)。 また、1998年4月、任天堂株式会社、株式会社クリーチャーズ、及び、株式会社ゲーム フリークの共同出資により、申立人の前身となるポケモンセンター株式会社が設立され、 2000年10月に、社名を現在の株式会社ポケモンに変更していることは周知の事実である。 そして、片仮名文字「ポケモン」及び欧文字「POKEMON」が、申立人が発売しているゲ ームソフトシリーズの名称、その作品に登場する架空の生物の総称、または、それらを題 材にしたアニメを始めとするメディアミックス作品群を指称することもまた、周知の事実 であり、その商標権は、申立人の設立主体である権利者が所有している。 さらに、申立人の設立主体である権利者は、本件ドメイン名と実質的に同一である登録 第5841119号商標「ポケモンEXPOジム」を所有している。 したがって、実質的には、申立人が、欧文字「POKEMON」を含む表示について権利ま たは正当な利益を有するものと判断しても差し支えない。そして、かかる欧文字 「POKEMON」を含み、また引用商標(甲第2号証)と実質的に同一である登録者のドメ イン名は、申立人らが権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一であるかまた は混同を引き起こすほど類似している、と認められる。 (2)第2要件 第2要件は、「登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していな いこと」である。 申立人は、この第2要件に関し、「本件ドメイン名の経緯」と題し、以下の事実を述べて いる。 ① 本件ドメイン名は、先に2015年7月24日に「サノヤス・インタラクションズ株式 会社」により登録されていた。 ② 「サノヤス・インタラクションズ株式会社」は、2015年11月にポケモンと遊べるア トラクション施設「ポケモンEXPOジム」をオープンし、その運営をしていた。 ③ 当該アトラクション施設「ポケモンEXPOジム」は、2017年9月に営業を終了した。 ④ サノヤス・インタラクションズ株式会社は2019年2月に閉鎖されている。 ⑤ 本件ドメイン名に係るウェブサイトは、当該アトラクション施設の営業が終了する 前の2017年9月3日当時には、「サノヤス・インタラクションズ株式会社」によっ て運営されていた。 ⑥ 「サノヤス・インタラクションズ株式会社」は、当該アトラクション施設が営業を 終了したことから、2018年7月31日に本件ドメイン名の登録を満了させている 。 ⑦ その登録満了の翌日に本件ドメイン名は「Hitomi Tsujika」によって登録された。 上記②及び③は、甲第14号証及び甲第15号証によって、また上記⑤は、甲第16号証に よって確認できるが、上記①、④及び⑥に関しては、何等立証されていない。なお、申立 書中、「本件ドメイン名の登録を(も)満了」との記載について、そもそも「満了」の用語 は、語義的に適切でないが、「廃止」の意味である、と理解した。 しかし、上記⑦に関して、登録者の登録日が、サノヤス・インタラクションズ株式会社 が本件ドメイン名の登録を満了(廃止)した翌日である、との申立人の主張は、俄かに信 用することができない。何故ならば、「汎用JPドメイン名登録等に関する規則」第24条に よれば、「廃止された汎用JPドメイン名(廃止されたものとみなされる汎用JPドメイン名 を含む)は、廃止日から1か月間、再度の登録申請ができないものとする。」と規定されて おり、汎用ドメイン名については、廃止から1か月間は誰も登録できないからである。 株式会社日本レジストリーサービスに、日本知的財産仲裁センターから照会した結果に よれば、以下の経緯を、確認することができる。 本件ドメイン名は、2015年7月24日、サノヤス・インタラクションズ株式会社によっ て新規登録されたが、2018年6月15日に廃止申請がなされ、同年同月30日に本件ドメイ ン名の廃止が実施された。その後、2018年7月1日から、7月31日まで、「汎用JPドメイ ン名登録等に関する規則」第24条により、一時凍結期間が設けられ、その凍結期間が解除 された即日である8月1日に、Taka Enterprise Ltd.によって新規登録がなされ、同日、Taka Enterprise Ltd.(同名の別のアカウント)に移転がなされた後、2019年4月29日に、登録 者がHitomi Tsujikaの情報に変更されるドメイン名情報変更がなされている。 また、申立人は、この第2要件に関し、「本件ドメイン名の現状」と題し、以下の主張を している。 ⑧ 現在、本件ドメイン名により「ポケモンEXPOジム オフィシャルサイト」と称する ウェブサイトが運営されている。 ⑨ 当該ウェブサイトは「サノヤス・インタラクションズ株式会社」によって運営され ていたものとは背景を異にするが、申立人及びその関係会社等にかかる「ポケモン」 の文字や画像を使用している。加えて、「サノヤス・インタラクションズ株式会社」 によって運営されていた当時のページと比較すると、掲載記事のほとんどが同一で あるため、登録者の行為は、「サノヤス・インタラクションズ株式会社」が掲載して いた記事等に関する著作権を侵害するものであり、申立人及び権利者の著作権及び 商標権をも侵害するものである。 ⑩ 本件ドメイン名に係るウェブサイト(に)おいては、2018年9月28日に「ポケット モンスターシリーズのネットギャンブルゲームを紹介!」というタイトルで追加さ れた記事がある。これは、ポケモンのゲームにおいて存在していた「ゲームコーナ ー」に関する画像を挙げて当時のゲーム内容を紹介しているように見えるが、「金 銀・クリスタルでは、カジノのゲーム性がもっと進化したよ! こちらで オンライン カジノおすすめをご覧になってください!」との文章中、オンラインカジノへ誘導 するリンクが張られている。 ⑪ ポケモンの文字及び画像を使用したウェブサイトはもちろんのこと、上記一文を取 り上げても、「金銀・クリスタル」は申立人及び権利者にかかるポケモンのゲームソ フトのシリーズを想起させるものであり、登録者が申立人及び権利者の商品・役務 と混同を生じさせることを意図している。 上記⑧は、甲第17号証によって、また、上記⑨に関して、「ポケモン」の文字や画像を 使用していること、及び、「サノヤス・インタラクションズ株式会社」によって運営されて いた当時のページと掲載記事のほとんどが同一であることは確認できるが、ウェブサイト の背景を異にすることは、甲第17号証及び甲第18号証によっては確認することができな い。また、「サノヤス・インタラクションズ株式会社」と申立人または権利者との関係につ いては、申立人によって一切主張、立証されていないし、「サノヤス・インタラクションズ 株式会社」が掲載していた記事等に関する著作権侵害の有無は、本件と何等関連がない。 さらに、上記⑩は、第2要件の問題ではなく、第3要件の問題であり、上記⑪についても、 何等の立証もされていない。 申立人は、申立人及び権利者は上記オンラインカジノとは何ら関係がなく、また、オン ラインカジノへと誘引する本件ドメイン名の登録者「Hitomi Tsujika」との関係もないから、 登録者は本件ドメイン名に関する権利又は正当な利益を有していない、と主張している。 本来、「甲は乙と関係がない」という事実から、「乙は権利を有しない」という事実を導 き出すことはできないが、この第2要件に関しては、「ないことの証明」、いわゆる悪魔の 証明になりかねないことから、比較的緩やかに解されている。 また、第2要件に関し、申立人に求められる主張、立証は、一般的には、㋐登録者の氏 名又は法人名とドメイン名の不一致、㋑ドメイン名と一致する登録者の保有する日本の登 録商標の不存在、及び、㋒当該ドメイン名のライセンスの不存在である。 これらについて、申立人は、「申立人及び権利者は上記オンラインカジノとは何ら関係が なく、また、オンラインカジノへと誘引する本件ドメイン名の登録者『Hitomi Tsujika』と の関係もない」と主張している事実がある。そして、客観的に、そのような関係はないと 認められるので、申立人は、間接的に、上記㋒を主張、立証している、と認められる。ま た、上記㋐に関しては、申立人の主張を待つまでもなく、該当するものであり、上記㋑の 主張、立証に関しても、これまでの裁定が厳格に要求しているわけではない(JP2019-0002 ~00004等)。 ところで、第2要件の事実の存否を認定する際、パネルは、特に以下のような事情があ る場合には、登録者は当該ドメイン名に関係する権利または正当な権利を有していると認 めなければならない。ただし、これらの事情に限定されない(方針第4条c.)。 i. 登録者が、当該ドメイン名に係わる紛争に関し、第三者または紛争処理機関から 通知を受ける前に、商品またはサービスの提供を正当な目的をもって行うために、 当該ドメイン名またはこれに対応する名称を使用していたとき、または明らかに その使用の準備をしていたとき ii. 登録者が、商標その他表示の登録等をしているか否かにかかわらず、当該ドメイ ン名の名称で一般に認識されていたとき iii. 登録者が、申立人の商標その他表示を利用して消費者の誤認を惹き起こすことに より商業上の利得を得る意図、または、申立人の商標その他表示の価値を毀損す る意図を有することなく、当該ドメイン名を非商業的目的に使用し、または公正 に使用しているとき しかし、登録者に上記i.ないしiii.の事情が存することは認められない。 したがって、申立人の主張、立証は第2要件に関連しない点を含み、不十分な面もある が、登録者は、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していない、と認め られる。 (3)第3要件 第3要件は、「登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること」 である。 方針第4条b.は、「紛争処理機関のパネルが、本条a項(iii)号の事実の存否を認定するに 際し、特に以下のような事情がある場合には、当該ドメイン名の登録または使用は、不正 の目的であると認めなければならない。ただし、これらの事情に限定されない。 i. 登録者が、申立人または申立人の競業者に対して、当該ドメイン名に直接かかっ た金額(書面で確認できる金額)を超える対価を得るために、当該ドメイン名を 販売、貸与または移転することを主たる目的として、当該ドメイン名を登録また は取得しているとき ii. 申立人が権利を有する商標その他表示をドメイン名として使用できないように 妨害するために、登録者が当該ドメイン名を登録し、当該登録者がそのような妨 害行為を複数回行っているとき iii. 登録者が、競業者の事業を混乱させることを主たる目的として、当該ドメイン名 を登録しているとき iv. 登録者が、商業上の利得を得る目的で、そのウェブサイトもしくはその他のオン ラインロケーション、またはそれらに登場する商品及びサービスの出所、スポン サーシップ、取引提携関係、推奨関係などについて誤認混同を生ぜしめることを 意図して、インターネット上のユーザーを、そのウェブサイトまたはその他のオ ンラインロケーションに誘引するために、当該ドメイン名を使用しているとき」 と規定している。 この点に関し、申立人は、「本件ドメイン名の登録者は、申立人及び権利者にかかる『ポ ケモン』ブランドを利用して、オンラインカジノへと誘引するという不正の目的で本件ド メイン名を使用している」と主張し、甲第18号証を提出している。 かかる主張、立証は、登録者の行為が上記iv.に該当するものであることを認めるのに十 分である。 したがって、登録者の当該ドメイン名は、不正の目的で登録または使用されている、と 認められる。 6 結論 以上に照らして、紛争処理パネルは、登録者によって登録されたドメイン名「POKEMON- EXPO-GYM.JP」が申立人らの商標その他の表示と混同を引き起こすほど類似し、登録者が ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有しておらず、登録者のドメイン名が不正 の目的で登録または使用されている、と判断する。 よって、方針第4条i.に従って、ドメイン名「POKEMON-EXPO-GYM.JP」の登録を申 立人に移転するものとし、主文のとおり裁定する。 2019年10月18日 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル 単独パネリスト 古関 宏 別記 手続の経緯 (1)申立書受領日 2019年8月8日(電子メール)及び8月13日(書面) (2)手数料受領日 2019年8月8日 申立手数料の受領確認 (3)ドメイン名及び登録者の確認 2019年8月15日 JPRSへ照会 2019年8月15日 JPRSから登録情報の回答 回答内容:申立書に記載された登録者はドメイン名の登録者であること、JPRSに登 録されている登録者の電子メールアドレス及び住所等 2019年9月30日 JPRSへ照会 2019年9月30日 JPRSから登録情報の回答 回答内容:ドメイン名の申請履歴 (4)適式性 日本知的財産仲裁センター(以下「センター」という。)は、2019年8月16日 に補正(法人の代表者の資格を証明する公的証明書類)が必要と判断してその旨を申立人 に通知し、8月20日に補正書類を受領し、申立書が処理方針と規則に照らし適合してい ることを確認した。 (5)登録者への通知日及び内容 1) 申立書送付日(手続開始日) 2019年8月21日(電子メール及び郵送) 2) 申立書及び証拠等一式 3) 答弁書提出期限 2019年9月19日 (6)手続開始日 2019年8月21日 センターは、2019年8月21日に申立人及び登録者には電子メール及び郵送で、 JPRS及びJPNICには電子メールで、手続開始日を通知した。 (7)答弁書の提出の有無及び提出日 センターは、提出期限日までに答弁書を受領しなかったので、2019年9月20日 に「答弁書の提出はなかったものと見做す」旨の答弁書不提出通知書を、電子メール及 び郵送で申立人及び登録者に送付した。 (8)パネリストの指名 2019年9月27日 申立人は、1名のパネルによって審理・裁定されることを選択。 言明書の受領日:2019年10月1日 パネリスト:弁理士 古関 宏 (9)紛争処理パネルの指名及び裁定予定日の通知 2019年9月27日 JPNIC及びJPRSへ電子メールで通知 申立人及び登録者へ電子メール及び郵送で通知 裁定予定日:2019年10月18日 (10)パネリストへのパネリスト指名書及び一件書類受け渡し 2019年9月27日(電子メール及び郵送) (11)パネルによる審理・裁定 2019年10月18日 審理終了、裁定。